エラ・フィッツジェラルドは、
本当に全天候型・万能ヴォーカリストなんだなぁと
しみじみ感じる。
名盤にして彼女の代表作の1枚『エラ・イン・ベルリン』を聴けば、
彼女のノリの良さ、
バラードの巧さ、
スキャットの巧さ、
聴き手に元気を注入してくれる明るいパワー、
などなど、
全領域の表現力において“完璧”という言葉を贈っても良いほど、
彼女のヴォーカルは全天候型。
オールレンジにおいて素晴らしい表現力がある。
では、このアルバムでのエラは?
陽気でノリの良い要素は陰をひそめ、
どちらかというと、しっとり系。
バラード中心のしんみり&スロー系ナンバーをしっかりと丁寧に歌う。
伴奏はジョー・パスのギター1台のみ。
しかし、これが素晴らしいんだなぁ。
ジョー・パスの心温まる伴奏。
ぴったりとエラの歌唱に寄り添う。
エラの歌に集中して聴けば聴くほど、
ジョー・パスのギターの巧みさに耳が行き、
ジョー・パスのギターに意識を集中させれば、
今度は、エラのヴォーカルがギターと溶け合うように浮かびあがってくる。
しかも、色彩で言えばモノトーンだが、
けっしてダークではない。
まるで、互いが陰になり日向になりの、過不足なしのベストなコンビネーション。
息もピッタリに、互いを尊重しあい、
丁寧に歌を紡ぎだしている。
地味かもしれないが、滋味溢れる演奏。
ベテランだけに出せる深い味わいだ。
じっと聴き入れば、染みてくる一音一音が、
そっくりそのまま心の栄養源。
是非、深夜、一人酒のお供に。
●アルバム
『TAKE LOVE EASY』
●レーベル
Pablo
●リーダー
Ella Fitzgerald & Joe Pass
●収録曲
1.Take Love Easy
2.Once I Loved
3.Don't Be That Ways
4.You're Blase
5.Lush Life
6.A Foggy Day
7.Gee Baby, Ain't I Good to You
8.You Go to My Head
9.I Want to Talk About You
●パーソネル
Ella Fitzgerald (vo)
Joe Pass (g)
●録音年
1973年


